20151216

 

 

 

 

 

人は、ただ話を聴いてもらうだけで自分の能力を解放することが出来ます。相手が発した言葉を、こちらの意見を挟まずにただ聴くのです。

2年前に、ある大学生の方の就職相談をしていた時のエピソードです。
学生さんが就職相談に尋ねてきて、開口一番こう言いました。

「私、就職したくないんです」

就職相談の窓口に来て、開口一番そう言われたら驚きますよね。

「甘いこと言ってんじゃないよ」とか、
「なんで相談に来たんですか?」とか、
言いたくなりますよね。

その時の私の返答は、

「そうなんですね」

でした。

学生さんの言葉に対して意見を挟まず、ただ聴きました。

学生「私、就職したくないんです」
私「そうなんですね」「他に感じてることはある?」
学生「家にいるのが好きであまり家から出たくないんです」
私「そうなんだ」「家にいるのが好きなのね。他に感じてることある?」
学生「家で仕事が出来たらいいなと思ってます」
私「そうなんだ」「家でどんな仕事がやりたいの?」

そんな感じで、学生さんの言葉をただ受け取るように聴いていました。そしたら、その後、彼女の中からいろいろな想いが出てきたんです。

自分に自信がないと感じていること。
仕事をして納税したいと思っていること。
仕事をしてお母さんを喜ばせたいと思っていること。
就職活動に取り組んでみたいと思っていること。
お金持ちの人と結婚したいと思っていること。

等々。

彼女は、開口一番「就職したくないんです」と言いましたが、彼女の中には、働きたい!という意思が明確にありました。初回の面談では、彼女の想いをただ聴いていただけですが、彼女が就職活動に取り組むという方向性が明確になりました。

その後、彼女は就職活動にチャレンジすることになり、何回か面談を重ねて無事内定を取りました。彼女は今も元気に働いています。

人は、誰かに言葉を受け取ってもらうだけで元気になります。

悩んでいる時、辛い時、道に迷った時。
誰かに自分の言葉を聴いてほしいのです。

もし、私が学生さんの最初の言葉をただ聴かずに否定でもしたら彼女はきっと自分の事を言わなかったでしょう。人に相談をしようという気にもならなかったかもしれません。

人の話をただ聴くことには、人の力を解放する力があるのです。

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