コーチングとは?
コーチングは、対話を通して、相手が成し遂げたいことを見つけ出し、どうやったらできるかを探究し、行動できるように力づけして結果を出すことをサポートするコミュニケーションスキルです。
ティーチングとコーチングの違いとは?
ティーチは、日本語で「教える」です。
ティーチャーは先生、教える人です。
英語の先生は英語を教えますし、社会の先生は社会を教えます。ティーチングというのは教えることを知っていることが前提です。
残念ながらティーチングには、二つ限界があります。
一つ目の限界は、知っていることは教えられるが、知らないことは教えられないことです。教えるためには、こちらが知っていなければいけません。知らない事、体験したことがない事、やったことがないことは教えられません。
もう一つの限界が、こちらが知っていることしか教えられないとすると、目の前の人はあなたを超えることが難しくなります。
あなたが教えられることの限界が相手の限界になります。
このことを、会社や家庭に当てはめてみましょう。会社に当てはめてみると、社長の限界がその会社の限界になりますし、家庭に当てはめてみると親の限界が子どもの限界になります。
ティーチングに対してコーチングは、編み出すです。
ティーチングとの違いは、ティーチは知っていることが前提ですが、コーチングは、こちらが知らないこと、やったことがないこと、体験したことがないことでも相手と一緒に方法を探り出し成果を創り出せます。
こちらが知らないこと、やったことがないこと、体験したことがないことでも相手と一緒に方法を探り出し成果を創る。『そんなこと出来るの?』と思われたかもしれません。私も最初に聴いた時はそう思いました。
実は、スポーツの世界では、コーチが成し遂げたことがないことを選手が成し遂げることがよくあります。
タイガーウッズ選手のコーチは、タイガーウッズ選手が成し遂げたタイトルを持っているわけではありませんし、メジャーリーグで活躍したイチロー選手を育てた仰木監督は、メジャーリーグに行ったことのない選手です。
長野オリンピックで金メダルを獲った里谷多英という選手がいます。里谷選手のコーチは、スティーブフェアレンというカナダのコーチでした。
スティーブフェアレンは、オリンピックの出場経験がありません。それどころかワールドカップでも表彰台に登ったことがない選手でした。それでも彼は、里谷選手に金メダルを獲らせました。スティーブフェアレンは、里谷選手が最も能力を発揮できる状態を創りだし勝利に導いたのです。
このようにスポーツの世界では、コーチが成し遂げた事のないことを選手が成し遂げます。コーチングは、1970年代にスポーツの分野で確率され、その後、ビジネスや教育の分野に拡がりました。
ここは間違えてほしくないのですが、ティーチングが悪くてコーチングが素晴らしいということではありません。ティーチングとコーチング、両方使えるとより人を伸ばす事が出来ます。
なぜ、今コーチングが注目されているのか?
正しい答えがある場合は、ティーチングは機能します。一昔前なら、いい大学に入っていい会社に入る。年功序列で給与は上がり、終身雇用で定年まで勤め退職したら退職金や年金がもらえる。そんな生き方のモデルが存在しました。
しかし、今、そのセオリーが崩壊しています。東大に入っても、就職に成功するとは限りません。一流企業に勤めても、経営が破綻しないとは限りません。企業の寿命は30年を切り、年功序列は崩れてます。若い方は、年金が満額支給されるかどうかが分かりません。
セオリーが崩れると、今まで上手くいっていた方法論が通用しなくなります。そればかりか、過去の上手くいった方法が足かせになり逆に苦しくなってしまいます。今、コーチングが注目されているのは、正しい答え(セオリー)が崩壊して、個人も組織も自らの答えを見出す必要が生まれたからです。
今までのリーダーシップは、正しい答えを知っているリーダーが、周りの人を引っ張っていくというリーダーシップでした。しかし、今の時代、リーダーですら答えを持っていません。今、求められるいるリーダーシップは、相手を引っ張るリーダーシップではなく、相手が自ら考え行動を起こすことをサポートするリーダーシップです。コーチングを身につけることで、相手の力を最大限に引き出す能力を身につけることが出来ます。
コーチってどんな人?
コーチのもともとの語源は、馬車です。英語で書くと、「coach」です。馬車の役割は、大切な人を行きたい所に送り届けることです。例えば、スポーツの場合であれば、選手が金メダルを取りたい!試合で勝ちたい!という目標を達成するために、コーチが関わり成果を出す所までサポートします。
ビジネスの場合であれば、経営者の方が、売上げをあげたい!新規事業を立ち上げたい!社内コミュニケーションを円滑にしたい!という目標に対して、コーチが関わり成果を出す所までサポートします。このように、コーチの役割というのは、相手が行きたい所に送り届けることです。
世界で戦うトップアスリートには、必ずと言っていいほどコーチがついています。そして、ビジネスの現場においても、企業のエグゼクティブやリーダーにコーチがついています。
コーチをつけることの意味と役割とは?
なぜ、コーチをつけることが、成果を出すことにつながるのでしょうか?
過酷な試合を戦っているトップアスリートや、迅速な判断を求められる経営者には、絶えずプレッシャーがつきまといます。そんな時に、自分の状態を客観的に見てくれたり、効果的なアドバイスをしてくれたり、話し相手になることで、コーチは、プレイヤーが100%ベストな状態で戦えるようにサポートします。
コーチは、常にプレイヤーの味方です。
プレイヤーが落ち込んだり、追い詰められたり、孤独感に捉われているとき、結果が出ない時に、力づけてくれる存在です。その役割は、スポーツに限らず、ビジネスにおいて、あるいは個人の自己実現においても同じです。
経営者や起業家は、絶えずチャレンジや、時代の変化に対応し、新しいことに取り組んでいく姿勢が求められます。判断に迷う時があったり、直面したり、落ち込んだりと、様々な状況が起こります。
相談できる相手がいない場合もありますし、周りに味方がいないこともあります。
そんな時に、コーチは、会話で力づけ、最善の方法が取れるようにサポートし、プレイヤーを勝たせます。人は一人でも味方となる人、あるいは一緒に取り組んでくれる人がいれば結果を出しやすくなります。
例えば、禁煙をする場合。1人で禁煙に取り組んだ場合の成功率は、7パーセントです。ところが人と一緒に取り組むと成功率は、50パーセントを超えます。多くの人の中に、人との約束は守るが自分との約束は守らないしくみがあります。人と一緒に取り組むことで成功率がはるかに高まります。
1人では中々取り組めない事もコーチと一緒に取り組む事で軽やかに動けるようになります。その結果、その人のパフォーマンスは最大限に発揮され、目標達成・自己実現のスピードが加速します。
コーチは、新しい答えを一緒に探し生み出していくパートナー
コーチは、新しい答えを一緒に探り、生み出していくパートナーです。あなたが求めている答えを すでに知っている人ではありません。あなたを観察し、必要なタイミングで必要な質問を投げかける。それによって、今までの思考の枠組を超える手助けをしていきます。
アメリカの経営者、ジャック・ウェルチ氏をご存知でしょうか?
世界でも有数の大企業、GE(ゼネラル・エレクトリック)の会長である彼をサポートしていたのが、29歳の女性コーチです。コーチが経営というノウハウを教えるのであれば、彼女が起用される可能性はゼロに近かったでしょう。しかし、自分という枠組みの外から自分を見る必要性を知っていたウェルチ氏は年代も性別も違い、経営の経験もないコーチを起用していました。
自分では見ることができない自分を見る。自分が作っている既成概念から抜け出す。そのお手伝いをするのがコーチです。
コーチが必要なのは、経営者やアスリートだけではありません
コーチは幅広い方のお役に立つことが出来ます。経営者やアスリートの方をはじめ、ビジネスパーソン、OL、子育て中の方や受験生、就職活動中の学生さんまで今日まで多くの方を対象に効果を上げてきました。
年齢、性別を問わず、どんな立場の人にも役立てるのはコーチングが「コミュニケーション」を学ぶことだからです。自分自身の思考の枠組みを知り行動を変えていくことは自分自身と良好なコミュニケーションを築くことにつながります。
自分とのコミュニケーションが上手くいけば、他人の良いところを発見し、力づけることも出来るようになります。「今の自分から、一歩踏み出したい」「家庭や職場の人間関係でプラスの変化を起こしたい」そう思う方ならば、大歓迎。ぜひ一度、ご相談ください。新しい答えを探しているのは、経営者やアスリートだけではないのですから。
一度、コーチングを受けた方が折に触れ、再びセッションを受けられることも珍しくありません。自分の内面をメンテナンスするために、コーチを起用する人が増えているからです。現代は答えのない時代と言われています。自分をマネージメントすることは、そんな時代を、軽やかに生きていく術となるはずです。